CUPSによるプリンターの設定 (Fedora7 編)
Fedora7では、Unix標準の印刷システムである、CUPS(Common UNIX Printing System) (カップス) を標準装備しています。ここでは、CUPSによるプリンター設定手順を紹介します。
プリンター設定ツールについて
Fedora7の場合、「プリンタ設定」ツールが2種類利用できます。
- グラフィカル画面のツール (他の管理ツール同様の画面操作)
- Webページ画面のツール (Firefox,IE等Webブラウザにての画面操作)
どちらも目的が同じです。好みにあった方を使用します。
グラフィカル画面の「プリンタ設定」ツールの起動手順
-
メニュー:システム/管理/印刷 をクリックします。
-
次の案内表示をする場合があります。
スーパーユーザ(root)でログインしていない場合、「スーパーユーザ権限により有効になる"system-config-printer"を実行しようとしていますが、実行するには追加情報が必要です。」が表示されます。
- 設定作業を行うのであれば、スーパーユーザ(root)のパスワードを入力し【OK】ボタンをクリックします。
- 内容の確認やテスト印刷等を行うのみであれば、【権限無しで実行】をクリックしてください。
この場合、途中で設定作業等を行い、rootパスワードが必要になった時その問い合わせがあります。
-
下記画面が表示されます。(以後の操作は目的別手順を参照)
赤枠の部分が 「…に接続」となっている事を確認してください。もし、「未接続」等ならば、「接続出来ない場合」を参照してください。
Webページ画面の「プリンタ設定」ツールの起動手順
-
Webブラウザを実行します。Fedoraの場合、Firefoxが標準装備していますのでそれを実行します。
-
URLアドレスバーに
https://<本ホスト名>:631 又は https://localhost:631
を入力します。
https
である事に注意して下さい。httpでも表示しますが、表示が出来るのみで、重要な設定の場合、暗号通信をする旨の案内が表示されます。
また、localhostとは、本ホスト名(コンピュータ名)を示す代名詞であり、この指定でもかまいませんが、証明書の警告案内表示が発生しますので出来ればホスト名指定して下さい。
-
下記案内がコンピュータ環境により表示される場合があります。
「今後この証明書を受け入れる」を選択し、【OK】ボタンをクリックします。
【OK】ボタンをクリックします。
-
無事接続できれば下記画面が表示されます。
-
変更作業等を行った場合、下記案内が表示される時があります。
設定の変更等重要な操作を行った場合、root管理者特権パスワードの確認を求めてきます。ユーザ名 root とパスワードを入力します。
-
以後の操作は目的別手順を参照してください。
-
接続出来ない場合
の案内
指定アドレスが正しいのに関わらず接続出来ない場合があります。【接続出来ない場合」を参照してください
プリンターのローカル接続手順
プリンタ設定ツールには、グラフィカル画面のツールと Webページ画面のツールがあります。ここでは前者にて、Canon S500 シリーズ プリンターを例として示します。
注意点:
- デフォルト状態でプリンターのメーカ、機種は多数登録されています。同一機種が存在しない場合、似た機種で色々試みてください。
- メーカよりLinux用、CUPS用プリンタードライバーが提供されている機種があります。メーカホームページを確認しそれをインストールしてください。
-
-
【新規プリンタ】ボタンをクリックします。
-
必要項目を入力します。
【プリンタ名】は必ず入力します。
【説明】、【場所】は必要に応じて入力します。
-
プリンターが接続されている事が確認できればリストされますので、それを選択します。若しくは接続装置を選択します。
-
メーカを探し選択します。(本例では Canon を選択しています。)
-
【モデル】、【ドライバー】を探し選択します。
同一機種がない場合、似た機種で試みてください。また、メーカよりドライバーが提供されている場合があります。メーカホームページよりダウンロードしてインストールしてみてください。
ドライバーの選択は、まずは「推薦」で行ってください。
-
確認案内が表示されます。
-
問題なく追加できれば、【ローカルプリンタ】にリスとされます。それを選択し必要であれば【オプション】を設定します。
-
【アクセス制御】タグをクリックし、「次のユーザを除いて全員に印刷を許可する」「次のユーザを除いて全員に印刷を拒否する」を設定します。
-
【設定】タグをクリックし必要項目を変更します。
共有 |
本プリンターをリモート接続可能とする場合設定します。
これにより、ネットワーク上に本プリンターを公開し他のユーザが利用することが出来ます。 |
デフォルトのプリンターにする |
本プリンターをデフォルトにします。デフォルトとは印刷時プリンターの指定しない場合に選択されるもの、又は第一候補となるのもです。 |
テストページの印刷 |
プリンターを動作可能状態にし、本ボタンをクリックします。テスト内容を印刷します。 |
-
設定プリンターでアプリケーションソフトウェアから印刷を行う場合、そのソフトウェアの印刷操作を行います。
例えば、テキストエディターであるgediの場合、ファイルメニュー/印刷で左図画面が表示されますので、そのプリンター表示として登録したプリンターがリストされます。
-
例えば、OpenOffice ソフトウェアの場合、ファイルメニュー/印刷で下図画面が表示されますので、そのプリンター表示として登録したプリンターがリストされます。
プリンターのリモート接続手順
プリンタ設定ツールには、グラフィカル画面のツールと Webページ画面のツールがあります。ここでは前者にて、サーバに接続されたプリンターを例として示します。
設定は、サーバ側とクライアント側双方の設定が必要です。
- サーバ側 (プリンター装置を直接接続しているコンピュータ)
- クライアント側 同じLANの場合 (ネットワーク経由でプリンターを使おうとするコンピュータ)
- クライアント側 違うLANの場合 (ネットワーク経由でプリンターを使おうとするコンピュータ)
同じLAN、違うLANとはサブネットマスクが同じかどうかです。
サーバー側の設定
-
メニュー:システム/管理/印刷 をクリックし「プリンター設定」ツールを起動します。
起動方法は、「プリンター設定ツールについて」参照してください。
-
【サーバー設定】項目クリックし、設定画面を表示させ、その中の
「このシステムに接続されている共有公開プリンター」
をチェック状態にします。
本項目が有効であっても、3.での【公開】項目が無効の場合、そのプリンターはリモート利用できません。
-
リモート利用するプリンターの公開設定。
- リモート利用するプリンターを、ローカルプリンター内リストから選択します。
- 【設定】タグを選択します。
- 【共有】項目をチェック状態にします。
共有項目がチェック状態でない時、本コンピュータユーザは利用できますが、ネットワーク経由でのユーザは利用は出来ません。
本項目が有効であっても、 2.での「このシステムに接続されている共有公開プリンター」が無効であれば、公開されません。
クライアント側の設定。同じLAN上の場合。
同じLAN(同一サブネットマスク)上のプリンターであれば、システムが自動で検索し表示しますので公開設定のみで利用できます。
-
メニュー:システム/管理/印刷 をクリックし「プリンター設定」ツールを起動します。
起動方法は、「プリンター設定ツールについて」参照してください。
-
【サーバー設定】タグを選択し、「他のシステムで共有されているプリンターを表示する」項目をチェック状態にします。
-
インストール直後の設定であれば、同じLAN(同一サブネットマスク)上に共有プリンターが存在すれば、【リモートプリンタ】としてリスト表示されます。
-
設定プリンターをアプリケーションソフトウェアで印刷する場合、そのソフトウェアの印刷操作を行います。
例えば、テキストエディターであるgediの場合、ファイルメニュー/印刷で左図画面が表示されますので、そのプリンター表示として登録したプリンターがリストされます。
クライアント側の設定。違うLAN上の場合。
通常インストール後の環境設定においては、違うLAN(サブネットマスクが違う)上のプリンターをシステムは自動検索しません。その場合の一例として、ローカルプリンターとおなじ様に登録して利用する方法があります。(自動検索をするネットマスク等の設定については、CUPSヘルプを参照してください。)
-
メニュー:システム/管理/印刷 をクリックし「プリンター設定」ツールを起動します。
起動方法は、「プリンター設定ツールについて」参照してください。
-
【新規プリンタ】ボタンをクリックします。
-
必要項目を入力します。
【プリンタ名】は必ず入力します。
【説明】、【場所】は必要に応じて入力します。
-
ここでは
必ず、「Internet Printing Protocol (ipp) 」を選択します。
利用したいプリンターを接続しているコンピュータホスト名とそのプリンター名を入力します。
例では、192.168.10.123 とIPアドレスを直接指定していますが、名前解決が出来ていれば、ホスト名そのものを入力します。
-
必ず 【Raw】 を選択します。
-
特にしていなく次ぐに進みます。
-
確認し、【適用】をクリックします。
-
通常のローカルプリンターと同じ取り扱いになりますが、デバイス URI がリモート先となります
-
設定プリンターをアプリケーションソフトウェアで印刷する場合、そのソフトウェアの印刷操作を行います。
プリンタ設定ツールに接続出来ない場合
-
以下の画面のような表示となり、作業続行が出来ない場合があります。
「未接続」が表示。「サーバ設定」項目が薄字表示。
「正常に接続できませんでした」メッセージの表示。
この場合、CUPSデーモン(サービス)が起動していない事が考えられます。通常のインストールであれば動作していますが、何らかの理由で動作していないことが考えられます。以下にその確認及び起動方法を示します。
-
サービスの設定を起動
メニュー: システム/管理/サービス を実行します。(環境によっては、メニュー: システム/管理/サーバー設定/サービス です。)
起動には、root特権が必要です。
実行しない場合は、「サービスの設定の起動」を参照してください。
-
CUPS 項目の状態を確認します。
- 【バックグランドのサービス】タブ内で CUPS 項目を探します。
- チェックマークが付いていろことを確認します。
- 状態表示で 「実行中」記載がある事を確認します。
-
上記確認が出来なかった場合以下の操作で起動、及び電源投入時自動実行する設定を行います。
- CUPS項目をチェック状態にします。
- 画面上部にある【保存】ボタンをクリックします。
- 【開始】ボタンをクリックします。
- Status 表示が、実行中 となっている事を確認する。
-
CUPS項目そのものが存在しない場合、正しいインストールが出来ていない事が十分考えられますのでインストール関係を再確認してください。
別コンピュータCUPSサーバーに接続
別コンピュータのプリンター設定を行う事が出来ます。これによりLinux以外のコンピュータ(Windows等)からでも設定作業が出来ます。
前準備として、接続される側の許可設定が必要です。
【サーバー設定】タグで「リモート管理者を許可する」がチェック状態である必要があります。
クライアント側からCUPSサーバへの接続方法は2種類あります。
- プリンタ設定ツールからのサーバ接続
- Webページからのサーバ接続 (Firefox,IE等Webブラウザにての画面操作)
どちらも目的が同じです。
プリンター設定ツールからのサーバ接続
-
【サーバー】ボタンをクリックします。
-
接続情報を入力します。
CUPSサーバ |
接続したいCUPS(プリンタ設定)サーバ名を入力します。例では IPアドレスを直接指定していますが、名前解決が出来ている環境ではホスト名の入力が出来ます。 |
ユーザ名 |
管理操作する場合のユーザ名を入力します。一般的には root になると思います。 |
暗号化を必要とする |
ここは、出来ればチェック状態にしてください。現在状態を参照するのみであれば必要ないですが、更新作業を行う場合必要となります。 |
-
パスワード入力をします。
-
無事接続が出来れば、緑枠の部分に接続先が表示されます。
Webページからのサーバ接続 (Firefox,IE等Webブラウザにての画面操作)
-
Webブラウザを実行します。Fedoraの場合、Firefoxが標準装備していますのでそれを実行します。
-
アドレスバーに
https://<接続先ホスト>:631
を入力します。
https
である事に注意して下さい。httpでも表示しますが、表示が出来るのみで、重要な設定の場合、暗号通信をする旨の案内が表示されます。
また、最後は :631 を忘れないように。
-
その後は「
Webページ画面の「プリンタ設定」ツールの起動手順」を参照して下さい。
このページの対象者 (「先輩の手順書」Linux Fedora7)
- リモートプリンターが接続できない
- Webページでプリンター設定するには?
- リモートプリンターが一覧に表示されない。
- プリンターの共有について。
- プリンターが表示されるものとされないものがある
- プリンター設定のリモート管理できない。
- 違うコンピュータに接続されたプリンターを利用するには
- プリンター設定が出来ない。
- Windowsからプリンタ設定作業を行う方法
Copyright (C) 2007 ナスヌーイ All Rights Reserved.